「祈りを捧げるわ」

「かしこまりました、お嬢様」



すっと息を吸い込んで、目を瞑る。



お父様とお母様に謝りたい。




私幸せにならなきゃ、二人も幸せにしてあげなくちゃ。




お父様……
お母様……





「柏原、屋敷に帰りましょう」


「もうよいのですか?」


柏原は、コートのポケットからシルクのチーフを出すと私の頬を綺麗に拭いてくれる。



「ええ、私皆のこと忘れない。今度は花束を用意して、また来ましょう」


そう言って顔をあげると、眩しい程に美しく優しい顔をした柏原がいた。


「やはり……貴女は私が愛する女性だ」



この顔も、私は二度と忘れないわ。