ＳＷｅｅＴ†ＹｅＮ

「犠牲……」


「その事実を然りと乗り越えましょう。うやむやにしてしまっては、駄目だ」



目から溢れた涙は、頬を伝い……抱き締められた柏原の腕に小さな黒い染みを作る。


厳しくて優しい柏原の声。




「これを乗り越えられたら、貴女は『紫音茉莉果』としてもっと自信が持てます。ご両親も大切にしてあげてください。だから……甘えるな」



「…………わ……かった」


茉莉果ちゃん、本当の両親……


それからお父様、お母様。

柏原の腕の中で、もう一度深呼吸した。





忘れていてごめんなさい。

きっと、私は受け入れる強さがなかったから……

あなた達を忘れてしまっていたのかも……



だけど、今は一緒にいてくれる人がいる。



優しく叱ってくれる柏原がいる。



ごめんなさい……