そんな情報知ってるなら、最初からそう言って欲しいわ。

意地悪な質問するのね……


確かに私が住んでいた街は海が見える街だったけど、それじゃ思い出せないわよ。


「こちらへどうぞ」


指を絡ませて、握り締められた手。

そして柏原は、歩き出すから私も引きずられながら歩いた。



「これは?」


高台を見張らすように石碑が、そびえ立っている。


「お嬢様の遠い記憶にある事故で、亡くなられた方を慰霊するためのものです」


「お墓なの……?」


「あの事故で亡くなられたのは、貴女のご両親と『小さな女の子』だけではなかったのです。しかし事故に遭った海域は、数千メートルの深海。遺体は引き上げられることなく海に沈み……」



「……っやめてよ!」



柏原は、意地悪だ!

そんな話をされて私が良い気分でいられるわけがないじゃないのよ!