────まったく、私の執事は性格が悪いわ。


悪いなんてものじゃないわね?


極悪よ、凶悪よ、最悪よ。


昨夜の激しい営みから、寝不足で頭がふらふらするわ。


柏原に手を引かれて、ここに来たときと同じ左ハンドルの小さな車に乗り込んだ。




数日を滞在した家、外観も木で出来ていて 屋根には青い瓦がのっている。

壁に蔦がはっていて、周囲の緑にひっそりと身を隠している。

長い間人が住んでいなかったと聞いていたけど、なかなか素敵な外観だった。宝物でも隠してありそうな家に見える。



この家は退屈だけど私を暖めてくれた暖炉がある。朝は爽やかに目覚めさせてくれる窓からの景色がある。


柏原が買ってくれたラグとルームシューズもある。




「また、ここに戻ってくるのよね?」


「さあ、まだ決めていません」


「そうなのね……」



執事は荷物を詰め込むと、車のエンジンをかけた。

片手はハンドルに、もう片方の手は、助手席に座る私の手を優しく握りしめた。




極悪よ、凶悪よ、最悪よ……



でも、どうしてこんなに愛しい。