「嫌じゃないけど……ベッドに……」


「ベッドがどうなさいました?」


柏原が歯で器用にコートのボタンを外した。

冷たい風と、熱い眼差し。


「ベッドに連れて行って。好きにしていいから……」


「ご自分の過去のことはよろしいのですか? 今夜出発するのでしたら、今すぐに私は準備しないとなりません」


そういうことは、こういうことする前に言いなさいよ!


柏原は涼しい顔して、湿った唇を舌で舐めた……


その綺麗な唇と舌が、また私の体中を這うのかと思うと鳥肌がたって、いても立ってもいられなくなる。

恥ずかしくて、泣きたいくらいなのに、どうしても柏原を受け入れられずにはいられない。


完全犯罪だわ……



「明日にする……」


「かしこまりました、お嬢様。ではベッドに移動しましょうか」


執事は、クスリと笑った。