「柏原っ! やめっ……!」


首筋を舐められると、足がガクガクして全身の力が抜けた。

柏原は片手で私の腰を抱いて、体を支える。


「全身を使った激しい運動ですよ、お嬢様」


「今、ここで?」


「過去に向き合うと仰る貴女が、少し勇ましく美しいものですから」



「あぁ……ダメダメ!」


「何がダメなのですか、すっかり私に反応する体になっておられるではないですか。とても過敏に反応なさるので、私も存分に楽しめます」


コートの隙間から冷たい手がスルリと侵入する。


「冷たい……嫌ぁ」


「嫌ではないでしょう?」


抱きかかえられて、切なそうに細められた鋭い瞳が私を求めてくる。