─────山の小さな家での暮らしは、何不自由なく、ゆっくりと続けられていた。


もう何日が過ぎたのか、よくわからなくなっていた。



朝は好きな時間に、柏原の腕の中で目覚めて、二人で朝食の準備をする。

午前中は掃除をしたり、クッションを干したり、洗濯をしたり……している柏原を眺める。

お昼は、古いオーブンでパンを焼く。これがとても美味しい。

それから午後は暖炉の前で過ごして、暗くなる前にお風呂と夕食の準備をする。


ここに来てすぐは、ホームシックだったけど、もうあの屋敷に帰りたいのか分からなくなってきた。


お父様とお母様のことは、心配だ。もう私を受け入れてくれないかもしれない。

本当の両親がいたら、こんなに寂しい思いしなくて済んだのかしら……



でも、柏原には出会えなかったかもしれない。