「それと、お嬢様のルームシューズです」
ラグの端に、イチゴミルク色をしたルームシューズが置かれる。
これもフワフワしていて、とても暖かそう。
柏原は、どんな時も私に快適な居場所を用意してくれるのね。
「寂しくなかったですか?」
背後から囁かれる、優しい声。
「また泣いていたら……と心配しておりました」
それから、頬に優しいキスをしてくれた。
「貴女は縛りつけようが脅そうが泣きもしないのに、孤独に対面なさると、弱く脆く美しい涙を流す」
私は背後から漂う外気の香りと、柏原の爽やかなジャスミンの香りを吸い込む。
大好きで、安心できる優しい香りだ。



