「─────お待たせいたしました。お嬢様」
「わあ! ありがとう! 美味しそう」
丸太を井桁に組み合わせたソファの横に、小さなサイドテーブルが出されて、そこに置かれたシュークリームとお茶。
このハーブ香りは、カモミールティね。
既に、数種類の茶葉を用意して食べ物に合わせたお茶を出してくれるなんて……さすが柏原だ。執事の鏡!
「お嬢様、少しの間留守番を頼みます。完全に日が暮れる前に買い足りなかったものを補充してきたいので」
「えっ……一人で?」
柏原は、ハンガーにかけてある黒いトレンチコートを羽織ると、漆黒の瞳を少し細めて私を見つめる。
「ええ、それを食べながら良い子にしていてください。暖炉の火を消すわけにはいかないので」
コートのボタンを首元までしっかりと締めて、漆黒の瞳は更に細くなり私を見据える。
「それとも、もう一度縛り付けておいた方がよろしいですか?」