「柏原ぁ」 執事へ、すがり付くように腕を伸ばして、しっかりと強く抱き締めてもらう。 こうすると安心する。 今の私は独りぼっちじゃないもの…… 「お嬢様、私の好奇心で貴女に辛い過去を思い起こさせてしまった」 「ううん、いいの。お父様とお母様も忘れてしまっているかしら?」 「それは……なんとも言えません」 「私……どうしよう……」 「申し訳ございませんでした」 柏原は悪くない。 全然、悪くないのよ。 でも、涙がとまらない。