『────そこは、どこだい? 気分はどう? 何が見える?』
うるさいわね。
人の夢にまで登場するんじゃないわよ。コブタ!!
ちょっと黙ってなさい。
ゆらゆらと、揺れながら私は深い眠りについていく。
最初は、柏原の運転する車内のように心地好かった。
だけど、段々と揺れが激しくなっていく。私は、あまり激しく揺れるのが好きじゃない。
そう……
そこは、大海原の上のよう……
竜司とクルージングした時なのかしら?
いいえ、もっと昔だ。
私が、まだ幼くて……
隣には、お父様とお母様がいる。眩しくて顔が見えない。
だけど、そこは船の上だ。大きな豪華客船で、私たちは航海を楽しんでいた。