「柏原、運命って時として残酷ね?」


「ええ、全く同感でございます。お嬢様、私は控え室で津田刑事とお待ちしております」


柏原は私が握り締めていた燕尾服を引っ張ると叩いて皺を伸ばす。


「嫌よ! 柏原、一緒にいてよ!」


今度は、タイをムギュと掴む。やっぱり、これは便利ね。リードだわ♪

離さないわよ。柏原



「お嬢様……人のタイを気安く引かないでください」

柏原は、心底迷惑そうに眉をしかめた。


「だって……柏原は、すぐにいなくなるからよ」


「お嬢様……大丈夫、私は貴女を置いてはいきません。安心して、カウンセリングをお受けください」