────私を乗せて、灰色のビルを抜けながら滑るように走る車体。


「はぁ憂鬱だわ……カウントリング」


ルームミラーから感じる柏原の強い視線。


「お嬢様、"カウンセリング"でございます。心理療法の一種の治療でございます」


「また……尻?」


最近柏原は、尻の話ばかりじゃないの

これじゃあ、竜司の尻を撫でましているセルマン先生と同レベルよ。


「はぁ……」

「きっと、そのため息も心理臨床士の方と少し話をすればなくなりますよ。茉莉果様」


何が楽しくて尻料理士と話をしなくては、ならないんだろう。


「私は非常に楽しみですよ。それに興味深いです。お嬢様の底なしのポジティブなお考えと、恐れ知らずなその態度がどのように暴かれるのか。旦那様の命に背く形になりますが、少しでも貴女を理解できるかもしれない」



柏原はハンドルを握りながらクスリと笑った。