フワッと、目の前を何かが過ぎていく。



「ギャッ!? なに?」


チョコフォンデュのスティックが床に落ちた。


「柏原っ! 何?」

私は、背後から執事に抱えられた。


「ちょっとっ! やめて!」

抗議の声も虚しく、目の前を通過したものが"縄跳び大会用の縄だ"と理解した時には、既に体の自由が完全に奪われていたのだ。


私の上半身を、横切り肌に食い込む縄。
どこに隠し持っていたのかさえ分からない。



「やめてっ柏原!」


縛った私を屋敷の大黒柱に押し付け私を強く縛りつけていく執事。


シュッ……
シュッ……


縄の擦れる音だけが響く。