「ケンカはやめて!」
私は、チョコフォンデュのスティックをブスッとバナナに突き立てる。
警視庁という名のテロリストの津田さんと、私の美形執事は言い争いをやめた。
「二人とも、私の事が好きでたまらないのは……よくわかったわ。でも私の心は決まっている」
津田さんを見つめる。
優しい声をした少し大人の男性だ。
出会ったばかりの私を酷く心配してくれているのね?
でも、ごめんなさい。
「今夜は、柏原と二人で過ごしたいの。今日は、よく分からない事もたくさんあったし、お客様の持て成しも不十分で反省会もしなくては、ならないの……だから津田さん」
ピックをバナナに突き立てたまま、津田さんに頭を下げた。
「ごめんなさい」