その執事は、クスクスと可笑しそうに微笑む。


う~わ、性格悪! 悪よ、極悪よ!



「それを胸に突き立てても、一思いにはあの世にいけないだろう。長さがあと数センチ足りない」


その狂気にあてられた、ひげ面三兄弟がみるみる青ざめていく。



「急所に刺したとしても、ひと思いにはあの世にいけないだろうな。急所わかるか? 例えば、ここや、ここ」

柏原は、分かりやすいように「ここ」と言って自分の首筋と、みぞおちを指差してニヤリと美しく笑う。


「まぁ、素人は大抵急所を刺し間違えてしまうものだ。そのナイフを俺から奪われずに、ゆっくり落ち着いて確実に俺を刺せる自信はあるのか?」


長身のひげ面は、プルプルと首を振っている。四角い顔したひげ面は、「うわぁ」と言いながら顔を覆った。


「もし、急所を外してしまった場合。出血多量で意識があり半日くらい苦しみながら死ぬ事になる……次からナイフを選ぶなら、あと五センチ長いものを選べよ。それが思いやりだろう?」


柏原は、楽しそうに笑う。



「この人に手を出すなら、一対三でも俺は逃げない」

ゴクリと、固唾を飲むひげ面兄貴。