嫌っ
汚い顔して近寄らないで……萌え萌えニャンニャンしていいのは、柏原だけよ!
「命が欲しかったらそれ以上、近づくなよ」
地を這うような、地鳴りのような柏原の迫力。
美しい瞳は、鋭利な刃物のように鋭く
私を庇うように、背筋を伸ばす。
「ねえ……兄貴、なんかコイツ……すげぇ恐い」
背の高い男は、ガクガクと震えながら兄貴に助けを求める。
「情けない声出すな! ここから逃げられたら、女なんていくらでも買ってやるから! このメイドは、どうせその男の"使い古し"だろう」
つかいふるし?
それって、ブルジョワジーな言葉なのかしら?
――ドンドンドン!
「紫音さんいらっしゃいますかぁ~?」
メインエントランスから、扉を叩く音が聞こえてきた。
「遅くなりました、警備会社の者ですが……」
「人を、侮辱するからだ。お前達は本当に運がない」
クスクスと笑い出した柏原。
それとは対象的に、ひげ面達は顔面蒼白になっていく。



