ああ……
楽しみだわ~


しょうがないわね。



決して食べ物で釣られたわけじゃないけど、柏原に従うわ。



「おまえ、その女離せ。いつまで抱き合ってるつもりだ?」


柏原は、無言で頷く。するとゆっくり私から手を離す。

私は、柏原に従って一言も話さずに柏原の影に隠れようとした。




「ギャッ!」


だけど、不覚にもひげ面に捕まって縄で後ろ手に縛られた。


「やめろ! その人に乱暴するな!」

「静かにしろ! もっと乱暴な目に合わせるぞ!」


ちょっと!

何の素材の縄よ!

痛いじゃないの!

私は紫音茉莉果よ!

どうせ縛るならシルクにして!


文句を言いたい気持ちを、ホワイトチョコに思想を流し込む。


柏原も、男二人に押さえつけられて手をグルグルと縛られていた。


「お前達の目的は何だっ?」


縛られながらも冷静な執事は、冷たい視線でひげ面を睨みつける。


「籠城だ、早朝の宝石店を狙って盗みに入ったが警察に検問張られて逃げ場がないんだよ。よろしくな」