黒い燕尾服の柏原と、黒い帽子に黒いジャンパー、黒いズボンの三人のひげ面男は睨み合う。
今日の我が家はお葬式みたいね?
私も深緑のメイド服をやめて、華やかな深紅のカクテルドレスにでも着替えた方がいいかしら?
その前に、ニャンニャンごっこをして仲直りを済ませないといけないわ……
暗黒キャラの座を心配してる様子の柏原。
大丈夫よ。
"黒"は、腹黒い貴方が世界一似合っているし
きっと読者アンケートをしてみても不細工なひげ面三兄弟より、柏原に投票してくれるわよ。
柏原の、綺麗な顎のラインを見つめて深く頷く。
「んんんんんん……んんんんん(安心しなさい……柏原)」
「お嬢様……ここは私に任せてくれませんか? 一言も声を出さずに……私の後ろに隠れていてください」
柏原は、私の耳元で指示を出す。
「んんんんんっ(違うわよ)!」
待ちなさい!
私がマナーを教えてあげようとしたのに……何勝手に手柄を横取りしようとしているの?
身分をわきまえなさい!
フガフガ言いながら抗議の目を向けると、柏原は小さくため息をついた。
このままじゃ、あのひげ面が屋敷を去る時
感謝されるのは、柏原ただ一人になってしまう。
「……今夜は、お嬢様の大好きなチョコフォンデュにいたしましょうか? ホワイトチョコをベルギーより取り寄せましたので……」
チョコフォンデュ!?
しかも、私の大好きなベルギー産のホワイトチョコ!?



