「あったわ!」


部屋の一番奥には、小さなクローゼットがある。

警察犬に発見されるまで、私が隠れていたクローゼット。


あれ以来、かくれんぼは禁止されている。



クローゼットには、クリニーグされた使用人用の洋服が入っているのよ。


おばあ様は、『この屋敷は沢山のメイドが働いていて賑やかだったのよ』と懐かしそうに話していた。

その当時のメイド達が着ていた、メイド服だろう。

深いグリーンに、フレアスカート、白いレースがついたエプロン。

少し古びているけど、可愛らしいデザインだ。いつか着てみたいと思ってた。



「柏原……見てなさいよ? 貴方に最高のメイド萌えを味わせてあげるから……」


着ていたネグリジェを、その場で脱ぎ捨てる。


ちょうど良さそうなメイド衣装に袖を通すと、髪を一纏めにした。


「眼鏡と、猫耳はないのかしら?」


クローゼットをガサゴソと、漁ってみたけど……ニャンニャンセットはないらしい。


「まぁ、いいわ。道具に頼らなくても、柏原にニャンニャン言わせてやるわよ」