「お嬢様……仕事になりません。そのように可愛らしい発言は控えてください。私は、朝食の準備をしておりますので」

柏原は、少し乱暴に私の腕をほどく。


「いいじゃない」


「私を惑わせないでください、自分を見失ってしまいそうになる」


何よ。
私は、柏原に抱き着いていたいのに!



「使用人の朝は、忙しいのです。相手が欲しいのなら……竜司様をお呼びいたしましょうか。お友達になられたのでしょう? 二人で仲良く水浴びしていらしたのですから」


ニコリと微笑む執事。

だけど、全然上手く笑えてないわよ!



目が腐った魚みたいだわ!



「わかったわ……柏原が、そう言うなら、もういいわ」


「お嬢様!?」




使用人ね……。


私はキッチンを飛び出すと、階段の真下にある使用人室に駆け込んだ。


小さな扉を開くと、中は薄暗いけど綺麗に整理整頓されている。


日用品などが、綺麗に並べられて管理されている部屋だ。


昔、おばあ様とかくれんぼをした。

私は、いつもダイニングテーブルの下に隠れていて、おばあ様にすぐ見つかってしまう。


だから、この部屋をみつけたのよ!


ここに隠れて、捜索願いを出されたのが私の自慢だ。

缶詰などの食料も充実していたのが勝因よ。



警視庁と自衛隊のヘリコプターでも発見できなかった、特別な部屋だ。


確かここには……