「────おはよう、柏原そこにいるの?」


明るい日差しと、折り畳まれたカーテン。

既に、柏原はこの部屋に訪れた証拠だけど……返事がない。



私はショールを羽織り、部屋を出てキッチンに向かう。

スコーンの香りがしている。



案の定、目当ての人は朝から忙しそうに働いていたのだ。



「お嬢様、おはようございます。一人で起きて来られたのですか? 珍しいですね」


そこには、昨日の寂しそうな面影は全く感じさせない柏原。


私は、ゆっくりと近づき背後から柏原を抱き締める。




「一緒に寝てくれたら……よかったのに」


ぎゅーっと力をこめると、柏原は動きを止めて盛大なため息を吐いた。