柏原は、テラスの窓を閉めてしっかりと施錠をする。

そして小さなため息をついた。


「どのようにして、あんなことになったのですか? お嬢様。貴女から竜司様に迫っているように見えましたが?」


「そんなわけないじゃない! 滑って転んで、竜司はクッションよ」


柏原は、小さく頷いた。


「なるほど。それでも私は怒りで支配された。醜い嫉妬をして申し訳ございません……」


月明かりに照されて、幻想的だけど泣きたくなってしまう程弱々しい。


「シット? 大丈夫よ、柏原自信持ってよ」




そう言えば柏原が微笑んでくれると思った。







……それなのに
執事は、寂しそうに笑っただけだ。




「こんな想いはじめての経験です。然りと責任とってくださいね。お嬢様」