変なコアラね?
もっと喜べばいいのに
私もバスタオルを羽織り、キッチンへ向かうことにした。
柏原が、そこにいると思ったから……
だけど、綺麗に磨きあげられた食器が残されただけ。
彼の姿はそこにはなかった。
「柏原ーっ!?」
広い廊下から、大声で呼んでみる。
竜司はSPを従えて帰えっていった。
メインエントランスの扉にゴリラみたいなSPの後ろ姿が消えていく。
扉が閉まるとシンと静まる屋敷。
「柏原! 返事をしなさい! 私が呼んでるわよ!」
柏原、まさか家出?
「くしゅん!」
私は、濡れた服をバスタオルで包む。
「寒いわ! 着替えを用意しなさい、柏原ーっ!」
早く出てきてよ……
着替えのある部屋に行くために階段をあがっていく。
この広い屋敷に一人は不安。
しかも警報器が壊れてるんでしょ?
「なんだか、気味が悪いわ……」
どうしよう……扉を開いてオバケがいたら……
ブルッと身震いがする。
住み慣れた我が家が、オバケ屋敷になるなんて……



