私は、手探りで蛇口をひねる。


シャァァァア!


「ギャーーーッ!」


予想外の水量に、頭から水をかぶったわ!  

冷たいわー!

いやーぁ!


「柏原のバカ! 変態! やめてぇー!」


「茉莉果ちゃんっ!」


竜司が慌てて蛇口をつかんだ。

この蛇口と洗面台は……お母様がヨーロッパでオーダーメイドで作らせたものだ。

アンティーク調で可愛らしいけど、使い辛いのよっ!

いつもは柏原が調整してくれていた……



「うわっーーー!」


竜司が手を出し
更に水量が増える!


「どっちに捻ると止まるの?」

「そんなの! わからないわよ! 柏原に聞かないとっ!」


二人で必死にアンティーク調の蛇口に悪戦苦闘した。

床も服も水浸しだ!


嫌になっちゃうわ!



「ああ……止まった……」