Ra~Ra~
「チガウ! チガーウ! モットーユウガーニ!」
散々、竜司の尻を撫でまわした先生。結局、柏原の一言でレッスンがはじまってしまった。
ぐちゃぐちゃの譜面を見て、先生は「たくさん練習しましたね(通訳:柏原)」と言ってくれたけど……
今日がほぼ初見だ。
「チガウ! チガーウ! ドウシタ? マリーカ」
『どうした?』 って、竜司の尻を撫でまわす先生の頭の中味こそが『どうした?』 と聞いてみたいわよ!
「ふぅ……」と小さなため息をつかれて、頭を左右に振る先生。
私は酷く惨めな気分だ。
こんな難しい曲、初見じゃ弾けるわけないし……
「ケイホーキー、グチャグーチャ!」
私の犯してしまった罪を、先生に必死に伝えても首を振るだけだ。
言い訳なんて通用しないんだ……
私は、世界的有名な作曲家の娘だから?
世界的有名なピアニストの娘だから?



