そうだった……
私のヴァイオリンの師セルマン先生は、ヴァイオリンの腕前は世界でもTOPレベル。
ついでに、若い男が大好きな変態度数も世界でもTOPレベルだ。
「リュージー……」
完璧に目がハートマークにロックオン、しきりに竜司のお尻を撫でまわす先生。
クスクスと、黒い笑い声が聞こえくる。可笑しくて堪らない……といった様子の執事が隣で笑っていた。
うわぁ……
性格悪っ
最悪ね? 絶対敵に回したくないタイプね。
柏原は、こうなる事を予測して竜司に残るように伝えたんだわ……
でも、レッスン時間が少なくなりそうでラッキーね♪
「ちょっと! 茉莉果ちゃん! 助けてっ……」
逃げようとする竜司に、先生は「ふぅ」と耳に息を吹き掛ける。
まるで蜘蛛の巣に掛かった蝶の様だ。
暴れる程に蜘蛛の糸は絡み付き、逃れようとする程逃れられない。



