────警報器と連動して、玄関ベルまでもが故障してしまった我が屋敷。


「茉莉果様、常々申し上げておりますが、外に通じる扉や窓の開け放しはなさいませんよう。くれぐれもご注意くださいませ」


「わかってるわ。子供じゃないのだから大丈夫よ。だけど柏原、しばらく泊まってくれる?」


一人は絶対に嫌だ。


心配だもの……柏原が、一緒にいてくれたら何も恐くない。



「茉莉果ちゃん……僕が泊まるよ! 使用人は帰れば……」
「もちろん。それが貴女の望みなら、私はここに泊りましょう」



柏原が、優しく微笑んでくれた。

安堵のため息と、私も笑顔になる。


「そんなの! 僕が許さなっ……」
「ありがとう。柏原、一緒に寝ましょうね?」


「ええ」


ソファからピョコンと飛び上がり、柏原にギュッと抱き着く。

柏原は、困ったように狼狽えながらも……抱き締め返してくれた。



……というか、柏原はこの屋敷に住んでしまえばいいのよ。

なぜ、あんなマンションに部屋を持っている必要があるのかしら?

縄跳び大会のためなのかしら?

それなら、この屋敷で盛大に開催してあげるのに。



「もう……嫌だ……」



わざとらしく、大声でため息をつき。部屋の隅で丸くなる元コアラ竜司。



あら?

その哀愁ある後ろ姿は、コアラそのものね。



微笑ましい光景ね。
丸くなっちゃって、可愛いんだから♪