「警備会社に連絡しました。修理に一週間かかるようです」


「一週間んっ? 私は、紫音茉莉果よ! その警備会社ったら私をバカにしてるの? すぐに来て修理するようにいいなさいっ!」



信じられないわ……


警報器がならない屋敷で、この私が一週間も暮らさなきゃいけないなんて!



「茉莉果ちゃんも怒ってるし……」

「なにかしら?」

「なんでもない……ごめんなさい」



柏原が燕尾服の懐から、何かを取り出す。


「警報器に、こんなものが詰め込まれておりました」


「あっ!」


それはグシャグシャに丸まったモーツァルトの協奏曲の原曲の譜面だ。


何故私が、それを瞬時にモーツァルトと判断できたかって聞きたいんでしょ?




不味いわ……





そもそも、譜面というものは、作曲家が書き記した通りの"原曲"と

編集を加えた"アレンジ曲"がある。


俗に、アレンジ曲は簡単に弾けるように音を減らされている場合が多い。