私が上手にヴァイオリンを弾くと、決まって柏原は嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
甘いプリンが、口の中で溶けていく感覚とそっくりだ。
「茉莉果ちゃん本当に素敵な……
「ありがとう。柏原」
以前は、何のために弾いているのかよく分からなかった。
今は、間違いなく柏原のためにヴァイオリンを弾いている。
ヴァイオリンだけじゃない、可愛い洋服を好んで着るのも、好き嫌いをしないでご飯を残さず食べるのも……私の執事が微笑んでくれるから。
「茉莉果ちゃ……
「お礼を言われる立場にはございません。茉莉果様のヴァイオリンの音色は、奇抜さの中にも魅力がございます」
「ふふっ♪」
嬉しいわ♪
柏原は、微笑みながら大きく頷くと……私のヴァイオリンをベロアの張られたケースにしまってくれた。
ああ、幸せ……
「僕がいる事忘れてるだろっ!!!!!」



