「────茉莉果ちゃぁあん!! 僕らの婚約が、あの暗黒執事に妨げられたなんて信じられないよ! うちの両親に連絡しても、『ああ、柏原くんか。彼なら仕方ないな』って、すっかり手込めにされちゃってるんだよ! なんなのさ、あの使用人!」


「仕方ないでしょ、相手はあの柏原よ?」



「茉莉果ちゃんまで……絶対騙されてるよ。あの暗黒パワーに惑わされてるんだ」



お父様とお母様は、仕事があるので陽子さんに拉致られた。

私は、竜司とスイートルームで紅茶を飲む。

久しぶりに、柏原のいれてくれた紅茶だわ。

カナダ特産のメープルティー。

甘い薫りが贅沢な茶葉。

そうだ!
後で柏原にショッピングに連れて行ってもらいましょう。

この茶葉をたくさん購入して、日本でも楽しもう。


「お嬢様、明日の飛行機"二人分"の座席の手配が出来ました。竜司様はまだカナダ観光を楽しまれますか?」


「僕は自分で帰るよ!」


竜司は、柏原を威嚇して唸っていた。


「私はショッピングができれば、カナダには未練がないわ。

竜司、今夜は私と柏原であなたがとってくれたテラスルームを使っていいかしら?」



「ええっ!? だって彼は使用人だろ? 僕は、どこに泊まればいいの?」


「竜司には、いい切り株があるじゃない~」


「茉莉果ちゃん……君って無自覚どSだね?」


「ムジカクドエス?」