「お父様と、お母様に本当のこと話ましょう。私達、愛し合ってるって」
「はたして……それが賢明なことでしょうか、お嬢様」
「む、どうしてそんなこと言うのよ!」
柏原は無表情だ。
「愛情とは、深く相手の事を想い、時に切なく、時に喜び育てていくものです。それは自分の中では絶対のものであっても、確証もなく形すらできない代物。それを口にして伝えることは難しいのですよ」
「お父様たちが、私たちの愛を信じないってこと?」
「可能性の話です。陽子さんは、間違えなく私がお譲様をたぶらかしたと考えるでしょう。こうやって……」
柏原が私の目の前に立った。
向かい合わせで、目が合う。
すると柏原の手が腰をぐっと抱き寄せる。
「美しい人だ……」
目を細めて私の髪を撫でる。
「柏原……」



