「やめてっ!! 柏原」




負けちゃダメよ!!!




執事を辞めると宣言した柏原。

だけど、竜司の手がテーブルに叩き付けられた。



あれ!?


柏原が勝ったわ!?






「柏原くんの勝ちだ……」


お父様が首を捻りながら判定を降す。


「やったわ♪ 柏原大好き!」


私は嬉しくて、柏原に飛び付く。


それなのにドンッと突き飛ばされた。


運動神経抜群だけど、ソファに倒れた。



「危ないじゃないっ!」


「退職届は、後日届けます。私はこれにて失礼します」


俯いたまま、誰とも目を合わせずに豪華なスイートルームを去る柏原。


「待って……柏原!」



もうこれで、障害はなくなったも同然じゃない。

また二人で静かな日々を過ごしましょうよ。




何故、執事を辞める必要があるの?





私は、急いで柏原を追いかける。