すごく深い眠りだった。



真っ暗闇で一人取り残される夢をみた。
お父様とお母様を必死で探す夢だった。



ヘッドフォンが外れ、飛行機の耳障りなエンジン音が響く。


「茉莉果ちゃん……」


揺すられて起こされると、私は不本意にも涙を流している事に気がついた。


「大丈夫? 飛行機も酔うの?」


竜司は、心配そうに私の手を握ってくれていた。




今は、どんな優しい手もいらないの。



「茉莉果ちゃん?」


「私に声かけないで……飛行機から突き落とすわよ」


「っごめん……もうすぐ着くよ。シート起こしてベルトをしよう」


竜司は、リモコンを操作して私のシートを起こすとハンカチで涙を拭いてくれた。


「気持ち悪くない? 機内食も食べられなかったね。飛行機降りたら、温かいものを食べよう……きっと寒いから」


優しい竜司
ハンカチを奪うと顔を埋めた。


でも、竜司じゃダメなの…………


私も、病気だ。


柏原
柏原
柏原




柏原に会いたいの───



こんなに、辛い想い
二度としたくない。