「茉莉果ちゃん、もう寝ちゃうの?」


個々の椅子が斜めに設置された、ゆとりあるシートを倒す。

足掛けとシェードが出てきて、快適なベットに変化するファーストクラス。


ブランケットと、ヘッドホォンを装着して川のせせらぎ音と鳥の囀りを流すと私は、竜司を無視して瞳を閉じた。


水音が眠りを誘う。


こういう時、俗にクラシックが催眠効果があるというけど音楽一家に育てられた私は、クラシックは絶対聞かない。

音を拾ってしまって眠りにつけないし、逆に疲れてしまうのよ。


でも、一日中クラシックを聞かされて眠りにつけない試練に耐えれば……柏原が戻ってくるというなら、私は喜んでそうするけど



……はぁ、柏原に抱き締めてもらいたい。