表示させた柏原の番号を見つめると、心臓がドキドキした。
私が「今すぐここに来て!」と言ったら柏原は来てくれるかしら?
お父様に、一緒にお願いしてくれるかしら?
『離れたくない』
柏原────
通話ボタンを押して
携帯を耳に添える。
プープープー
「なによっ? 私をバカにしてるの?」
思わず、携帯に文句を言いたくなる話し中のノイズだ。
もう一度!
プープープー
「なんでやねん!?」
しまった!?
キャラを間違えたわ。
私は、お嬢様なのに……
可憐に小さくため息をついて携帯の電源を落とす。
「茉莉果ちゃん! お待たせ。うちにいる使用人が口うるさくて、サイボーグみたいだよ。行こうか? 時間だね」
竜司に手を握られた。
それを振り払う元気もない。
やっぱりお父様とお母様に全部話すしかないわね。



