今こそ、世界中のユーカリを伐採できる気分よ。
この女、わかっていて私と柏原の仲を引き裂いているのね。
こんな侮辱、うまれてはじめてだわ。
「身分相応の結婚相手と結ばれる事が、お嬢様の一番の幸せでございます」
柏原のバカバカ!
なんで合鍵を陽子さんに渡したのよ!
「柏原さんは、それをよく理解してくださいました。お嬢様を想う事は、蕀の道。自分の想いを捨て、西原の屋敷にいく決意をしたのです」
「捨て……られたの……? 柏原は」
そんな簡単なものだったの?
私への忠誠はそんなものなの?
「ええ、あっさりとしておられましたよ。さぁ、朝食にいたしましょう。今日も竜司様がお見えになりますよ。お嬢様のために人気のリゾート地を一日貸切にしたとおっしゃっておられました。牧場やホテル全てを貸し切りになさったようですよー。お嬢様はお幸せでございますね」
「出ていきなさい……」
私は力任せにベッドに並べられたクッションを陽子さんに投げつけた。
「お嬢様……おやめくださいっ!」
バシン! バシン! と陽子さんに当たり落ちるクッション。
天気の良い日には柏原とテラスに並べてお茶をした。
そうすると、夜眠る時にお日様の匂いが沢山してぐっすり眠れるの。
微かに、お茶の香りと柏原の香りがするの。
あなたは私から奪ったのよ!
私の大切な執事を……
柏原は、あっさりと私を捨てたりしないわよ!



