「─────おい! あれ紫音茉莉果じゃねーか?」




 なによ……呼び捨てにするんじゃないわよ! と思ったが、心の満たされている私は仄かに微笑み小さな会釈をする。



「すげー! 本物だ。めちゃくちゃ綺麗だ」

「わー! 本当に紫音茉莉果!」



 試合が開催される会場についた私は、予想していたより観客が少なく小さな建物に少し驚いていた。


「柏原? 本当にここなの?」

「間違いございません」