「……って、わけで大成功の拍手喝さいよ! 柏原、ありがとう。大好きよ♪」


柏原の運転する車内。
私は今日のスピーチの報告をした。


「さようでございますか……きっと卒業生には貴女が忘れられない存在になったでしょう」


「当たり前よ! 私は、紫音茉莉果よ」


「さようでございました……はあ」



あれ?
柏原の声に元気がないわね。


それに、最近は天気の良い日は歩いて自宅に戻っていたのに、何故今日は車なのかしら?

スパルタ柏原のお陰で、最初は一時間かかった道のりが四十五分で帰れるようになったのに……目標は三十分と言っていたけど、それはアスリートでも無理よ。


だけど、柏原は一人なら二十分かからないと断言していた。それは明らかに嘘だと思う。



「柏原、どうしたの? 元気ないわよー。暗いのは元々だけど」


信号待ちの際に、運転席と助手席の間からヒョコっと顔を出して、柏原の顔色を伺ってみた。


「お嬢様、危険ですので……シートベルトを着用ください」


うーん……
やっぱり、何か変だ。


「柏原の運転で危険な思いをした事など一度もないわ。信用してるもの」

「ありがたきお言葉。ですが私の送迎も本日で最後となるかもしれません」




「どういう意味よ!」



そして、その疑問は屋敷に戻るとすぐに解明した。