「うららかな……

はるのひざしのなか……

このよきひに……」


柏原が考えたスピーチは、暗号化されていて何を言いたいのかイマイチ。




「おもいおこせば……

そつぎょうせいのみなさまとは……」


だけど、全てひらがなで書かれていて読みやすい。

昔、両親から『茉莉果! ひらがな読めるなんて猿より頭がいいじゃないか!』と誉められた事がある。


和紙に墨と筆で書かれた、読みやすい丁寧な字を追うのは得意よ!


だけど、最後くらいは顔をあげて自分の言葉で話そう



「わたしは……

いつか……

あなた達を忘れます」


シーン……と静まる会場


あれ?

柏原の書いた和紙を再度見直す。


『わたしは、いつまでも、あなたたちをわすれません』と書かれていた。


惜しい!
ニアミスね。


ワッと拍手が起こり。
私は壇上を後にする。


テカテカからは、「ユーモアのセンスが抜群です!」と激励を受けた。