「寝言は寝てから仰ってくださいませんか? 茉莉果様」


「寝言の話は関係ないでしょ、何を言ってるの柏原」



 柏原はたまに人の話を聞いていない時がある。

 何故、寝言について語ってるのよ、全く理解できないわね。


 クロークルームを見渡し溜め息を一つ。

 お父様に言い付けて減給してもらわないとダメね……主人の話を聞かない執事なんて、執事失格よ。


 私は心が広いから減給で許してあげるけど!



「柏原。貴方の主が私でよかったわね?」


「はい? …………光栄でございます。」


 盛大な沈黙の後に、どこか棒読みな態度に腹がたった。

 だけど、そんなことよりイケメンの試合が始まってしまうわ!


 私はスイスから最近取り寄せた可愛い陶器のクォーツの時計を見ながら、再度クロークルームに溜め息を一つ納める。

 私の溜め息クロークになっちゃうわよ柏原のせいで……