「ですが、竜司様。お嬢様の将来は私の将来でもあります。私にもお聞かせ願いませんか、旦那様もきっとそれを望んでおられると思います」
柏原は、口元に小さな微笑みを浮かべてゆっくりと私達に近づく。
ナイス柏原。
得意の屁理屈ねー。
「お前はデートまでついてきて、ずっと僕たちに付きまとうつもりか!」
「何か勘違いされているようですが、主が望むなら期待に応えるのが執事の役目です」
"執事の役目"
そうよね。
これも柏原個人の行動じゃない。仕事のよ。仕事だから私を助けようとしてくれているだけ。
でも、それちょっと悲しいのは何でかしら?
柏原はすっと背筋を伸ばした。
「もし今ここで、主があなたに凌辱されても……お嬢様が私に助けを求めてこない限りは私は手をだせません」
「りょ……りょおおおお、そんなこと軽々しく口にするなあ!」
竜司は顔を真っ赤にした。
柏原は涼しい顔して待っている。



