────柔らかい羽毛の感触。シルクの枕カバー。
温かい手……
「……柏原ぁ」
「茉莉果ちゃん!! よかった目が覚めた?」
あれ? 柏原じゃないわ。
「船が弱いなら最初に言ってくれたらよかったのに!! ごめんね……突然倒れたからビックリしたよ!」
ここは、私の部屋。
「竜司じゃないの、どうやって屋敷に入ったの?」
「君の執事が連れてきてくれたよ」
「柏原? 私の柏原はどこかしら? まさか、まだ麗香と一緒だとか言うんじゃないでしょうね?」
「茉莉果ちゃん! まだ無理しちゃだめだよ! 顔いろが真っ青だよ」
「大丈夫。柏原はどこかしら?」
部屋を見渡しても柏原はどこにもいない。
「今、麗香を送りに行ったよ。麗香は茉莉果ちゃんの執事がお気に入りみたいだね」
「麗香を送りに?」
あの女……
私の執事を……
よくも……
言い様のない怒りが沸々と沸き起こる。
やっぱり海に沈めてくるべきだったわ。
海を思い出して、また気持ち悪くなったわ。
ベッドにパタリと倒れた。