「そうだ! 今日はダブルデートってことでどうかしら?」
麗香がパンと手を叩く。
「何勝手に仕切ってるのよ、麗香!」
「あら、いいじゃない。茉莉果と竜司。私と柏原様の組み合わせで」
「柏原はダメよ! 麗香なんか嫌よね、柏原?」
「私はかまいませんよ」
なっ?
柏原が麗香の腰に腕をまわした。
なっ?
「私ごときが麗香様のお相手が勤まるでしょうか?」
柏原は甘く囁く。
麗香は軟体動物みたいにグニャリと柏原にその体を預けた。
「ちょっ!」
「茉莉果ちゃん、いいじゃん。僕たちは僕たちで楽しもうよ。美味しいガトーショコラもあるよ」
「ガトーショコラ?」
「うん! 今、用意させるね」
竜司が片手で使用人に合図を出す。
ガトーショコラ!
虫歯になるからって、柏原がたまにしか食べさせてくれないのよね。
ラッキー。