「おはようございます紫音代表」
「おはよう」
この学園で、私に求められるものは優雅な笑顔と気品ある対応。
得意分野よ。
様々な箱入り令嬢が揃い、なんとなく生ぬるい毎日を過ごしているこの学園。私は、高校から編入してきた。
理由は音楽交流が盛んで、学園内にオケが結成されていて有能な講師も沢山いるからだ。
もちろんヴァイオリンの授業もある。お父様とお母様もそれを望んでいたし、前の学校に戻りたいなんて言えない。
この学園へは、幼稚舎の頃在籍していたらしいのだけど記憶はほとんどない。
私は『聞いてよ! 昨日、超イケメンみつけたの!』そんな会話をする相手が欲しい。
良い馬を両親からプレゼントしてもらい乗馬が楽しくなったという話や……次の休みは皆でクルージングに出掛けよう……有名なオペラ歌手が来日する……そんな退屈な話題いやだわ。
前の学校の方が楽しかった……だけど紫音茉莉果として音楽一家の一員として、この学園に在籍する事が、すごく名誉な事らしい。