「すぐに、上着の準備をいたします」

「うっ……」


大きな窓から外を見る。暖かな日差しが射していて、これなら昨日の寒空よりマシだ。

行ける所まで行ってみるわよ。


余裕よ、余裕!


私は一人で散歩できるお嬢様になるのよ!


窓を少し開けてみる。暖かな日差しとは裏腹な冷たい空気が入ってくる。


「寒い……」

窓をピシャッと閉めた。


「お嬢様、上着を持って参りました」

「柏原、今日はやめたわ! 宿題の課題が山ほどあるのよ」


「かしこまりました」と、盛大なため息が聞こえた気もする。


私、寒いのが嫌いなだけだし。



春になったら簡単に挑戦するわ。

余裕よ、余裕!