「昨日も『無理よ』って言ってるのに柏原張り切ってたから、まだ身体中が痛いのよ。柏原激しいのよね」
予定外のハイキングは辛すぎだ。
寒空を二人で一時間も歩いたのだから。
「やっぱり、そー……いう関係なんだよね……」
「そういう関係よ」
なにか問題でも?
執事と主人という関係で、柏原は私に色んな事を教えてくれる。
それだけよ?
「も……もう帰らないと、なんで親父リストラなんだろな、あとちょっとで定年なのに」
「えぇっ? ほんとに帰っちゃうの? もしよかったら、これから柏原と3人で楽しめたらと思ってたのに」
浩輔は執事になりたいのよ。
柏原と、直接話をしたら楽しいはずよ。
「う……ううん、なんか自信なくなりそうだからやめとく」
「そんな事ないわ! 浩輔は、絶対に立派よ! 柏原はもっとすごいけど」
浩輔なら立派な執事になれるわ!
「あははっ……ありがとう茉莉果ちゃん。今度は覚悟決めてから遊びにくる」
覚悟?
そうか、まだ決まってないのか……だから、柏原と話をする勇気が湧かないのね?
「わかったわ……沢山経験積んで、頑張って!」