「それにしても、すごいね~こんなお屋敷に住んでるなんて。俺の実家なんてこの部屋一つに入りそうだよ」
「まあ、浩輔ったら冗談が上手ね! そういえば、あの麗香とは会ってるの?」
「冗談じゃないって……。そうそう麗香ちゃん」
それまでは、順調に楽しい会話をしていたのに私は、地雷を踏んでしまったようだ。
浩輔が、険しい顔をする。
地雷の様な女の名前なんて出さなきゃよかった……
「実は、色々あってちょっと傷つけちゃったかも……」
「なっ…? 麗香を?」
ナイスよ!
麗香を傷つけたなんてナイスだわ!
それなのに浩輔は気まずそうに、視線をさ迷わす。
「ごめんね。茉莉果ちゃんの大切な友達なのに、大切にしてあげられなくて……でも俺さ、麗香ちゃんより茉莉果ちゃんが気になっちゃって……」
可哀想に、麗香に仕返しされたのね。
わかるわ、その気持ち。
あの女すぐにムキになってやり返してくるのよ。
浩輔の頬に手をあて、グイッと私の方を向かせた。
「そんな悲しそうな顔しないで、浩輔は悪くない」
あんな女に仕返しされて神経が壊れてないか心配だ。
私は親友だから耐えられるけど、普通の人には中々辛い試練だろう。
「まっ……茉莉果ちゃん?」
浩輔の柔らかいくせっ毛と茶色い瞳が至近距離に迫る。



