「茉莉果ちゃんを喜ばせようと、俺もマカロン買ってきたんだけど。これは三時のオヤツにでも食べて」
「まあ! マカロン。私大好きよ! ありがとう」
「どういたしまして」
お茶とスコーンを並べ、柏原は応接室から去っていった。
基本的に呼ばれたらすぐに駆けつけられるけど、客人がいる時は必要以上にその場に留まってはいけないという決まりになっている。
「あれ? 柏原さん行っちゃうんだね」
「呼んだほうがいい?」
そうよね……浩輔は柏原に会いに来たのよね?
「ううん。いいよ……俺、茉莉果ちゃんと二人で話しもしてみたかったし」
「そう?」
執事の主人にも興味があるのかしら?
でも主人はその人の性格や生い立ちによっても執事の扱いが違うから、私の話しは参考にならないかもしれない。
それでも人助けになるなら付き合うべきかしら?
「聞きたい事は、何でも聞いてね?」
「本当? やったー」
浩輔は、小さくガッツポーズを作る。



