浩輔の前にはコーヒー。
それが置かれた場所から離れた場所に私の紅茶が用意された。
ミルクがたっぷりと注がれたミルクティーは、なぜか不自然な程に客人と距離がある。
「柏原、私と浩輔のカップが遠くない?」
「いえ、適度な距離でございますよ。お嬢様」
私はしょうがないから浩輔から離れてソファーに座る。
「浩輔、このスコーン美味しいわよ♪」
「へー、手作りかぁ」
もちろん柏原の手作りだ。
スコーンは材料を混ぜるだけで比較的簡単に作る事ができる。
私も休日の朝はよく、柏原と一緒にスコーンを焼くのだ。
今日は寝坊したから手伝えなかったけど……それでも柏原はちゃんとスコーンを用意してくれていたのね。
「焼きたてなんだね……柏原さん、いただきます」
浩輔は丁寧に柏原に頭をさげると、私に隣に座るように「こっち、こっち」とソファーを指さした。
本当に年上とは思えないほどに愛くるしい一面がある浩輔。



